土曜日にしては少し早く起きて、地域のごみ焼却施設に行ってきた。着なくなった服や、いらなくなった家電が溜まると、半年に一回くらい捨てに行くようにしている。今回もゴミをかき集めて捨ててきた。ゴミを乗せた車の後部座席はいっぱいになった。
焼却施設ですべてのゴミを降ろし終えた、この瞬間の気分が最高に気持ちいい。家に溜まっていた老廃物を一気に放出したような、そんな気分になる。日々の生活の中、視界の隅っこに入り、そして意識の奥の方に溜まっていた要らないノイズ。それが、綺麗さっぱり流されていくような感覚。
ぼくの中の誰かが言った。
「人はなにかを捨てるために、なにかを手に入れるのだろうか」
ぼくの中のもう一人の誰かが答えた。
「いや、次のなにかを手に入れるために、今持っているなにかを捨てるんじゃないか」
ぼくの中の三人目が言った。
「お前らうるせえよ。黙って働けよ」
