まだ夏が本格的になる前の頃、扇子を買ったのだ。それからというもの、毎日この扇子が大活躍してくれている。ただじっとしているだけで暑い駅のホーム。扇子でパタパタと扇ぐだけでいくばくか暑さが和らいでくれる。使わないときは羽を畳んでリュックにいれておくこともできる。なんて素敵なアイテムだろうと思っていた。
そんなスーパーお気に入りの扇子のカバーをなくしてしまった。実はこの扇子のとても気に入っているところは布製のカバーがついているところだったのだが、それをなくしてしまった。どこかに落としてしまったのだろう。職場についたときにはもうどこにもなかった。
悔しいので帰り道、同じ道を帰って地面をよく探した。きっと歩いている途中で落としたのだと思ったからだ。ぼくが地面を注視しながら歩いていると、職場の眼の前の横断歩道のところに布が落ちていることに気づいた。「やれやれこんなところにあったのか」と思って近づいた。全然ちがうハンカチだった。紛らわしい!