微炭酸のしょう油

やわらかいところ、刺してもいいですか?

お湯は豆を通過してコーヒーとなりゆく

車を1時間走らせて、コーヒー豆を買いに行った。コーヒーを豆から挽くようになってしばらく経つが、ここにきてさらに美味しいコーヒーを生み出すべく、ミルやサーバー等のグッズを一新したのだった。

 

コーヒーにこだわり始めてから、気づいたことがある。ぼくは「美味しいコーヒーを飲みたい」のではなく、「美味しいコーヒーを作りたい」のではないかということ。ぼくがコーヒーを淹れるのは、もちろん美味しいコーヒーを飲みたい気持ちはあるが、それ以上にコーヒーを淹れるのが楽しいからなんだと思う。

 

豆を瓶から出して、ミルに入れる。コーヒー豆のいい香りが空間に漂う。ケトルに水を注ぎ、スイッチを入れる。そしてミルの取っ手を回す。タイムモアの重厚なミルがみるみるうちに豆を粉へとすりつぶしていく。出来上がった粉をドリッパーにセット。粉になり軽やかになった香りがまたそこを飛び交う。数度に分けて、お湯を粉に注ぐ。無色透明だった高温の水分が、粉の美味しさをしっかり携えながらサーバーに落ちていく。一滴一滴が量を帯び、それが黒を形成していく。さあ、コーヒーの出来上がりだ。

 

そういえば奥さんがこんなことを言っていた。

「わたし、あなたがコーヒー淹れるのを見るのが好きなんだよね」

なんで? と聞くとこう返した。

「だって、のろまだけど丁寧じゃん」

 

それ、ギリギリ悪口じゃない?