日記って毎日書かないとだめだね。これは断言できる。なぜかというと、書く理由がひとつなくなるから。なんで日記を書くか。それは昨日も書いたからだ。それのみだ。毎日書かないと、頭でこう考えるようになる。「書くべきことが思いついたら書こう」。でもそうなると、そもそも書くべきことなんてなんてないことに気づく。もともと書かなくていいものを書いているんだから。そこに行き着いてしまう。
我々、日記家はどうしようもなく意味のない日常の中で、思考の切れ端のような単なる思いつきの残りカスみないなものを集めて、それを文字にして並び替えて日記とする。人生に意味なんてあるのかと誰かは言うが、それは順番が逆だ。生きるとは、人生に意味を付けていく作業なんだから。日記もそれに似ている。日常が24時間ずつ過ぎ去っていく中で、それをつなぎ止めるために文字にして打つクサビ。自分が今日を生きたという証を文字にして、そしてインターネットという広大な海に解き放つ。
海は我々に言うだろう。
「日記家ってなんだ。そんな職業はない」
「たしかに。給料は発生していない。つまりどういうことか分かるか?」
「どういうことだ?」
「NPO法人ってことだ」
「非営利ってこと?」
「yes」