微炭酸のしょう油

やわらかいところ、刺してもいいですか?

ame

雨が降っていた。水分を含んだ地面の色は濃いめに滲み、2階の窓から見た外の景色。小学生たちの傘が道に咲いているように見えたことを思い出す。ぼくは傘の持つところのフックにお弁当箱をぶら下げて歩いた。片手だと少し重い。「やはり、ちょっと重いな」と、まるでもののけ姫のエボシが火縄銃を持ったときのようにつぶやいてみた。明日は有給休暇をとったので仕事は休みだ。奥さんとスーパー銭湯に行こうと約束してある。今から風呂上がりになにを食べるかが楽しみだ。あの壺みたいな1人用のお風呂が好きだ。壺湯というのだろうか。誰もいない壺湯は縁のギリギリまでお湯が張っていて、ぼくが入るとその分のお湯が溢れ出し、そしてまた縁のギリギリにお湯が張る。そして壺湯は完成する。ぼくは壺湯の一部になる。循環するお湯の中で、一秒ごとに温まる身体。お湯から外に出ている顔に当たる風が気持ちいいだろう。今から楽しみだ。早く壺湯の一部になりたい。