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「室町無頼」の感想 至極のエンタメ時代劇爆誕

映画「室町無頼」を観てきました。以下ネタバレあり。

 

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極上すぎるエンタメ映画!

まず、何よりも伝えたいのは「全秒面白かった!!」という感想。内容は、室町時代の「徳政一揆」をもとにしたストーリーで、飢饉や疫病に苦しむ農民を救うために、ある男が腐った幕府に立ち向かうというもの。時代劇と聞くと予備知識が必要だったり、なんだか難しいイメージがあるが、この映画は時代劇の皮を被った完全なエンターテイメント映画。腐った幕府を倒すために、弟子を育て、仲間を集め、そして民を率いて一揆を起こす。ストーリーはめちゃくちゃ分かりやすい。その上に乗っかっているのが迫力満点のアクションであり、カメラワークである。全編を通じて、弟子の才蔵のアクションシーンが最高すぎる。本人のアクションもさることながら、CGや特にカメラワークが凄い。才蔵が地面を転がるのに合わせて画面がゴロンと一回転する映像、また戦いの中での武器視点のカメラワークも初めて観た。ずーっとスピード感のある映像でどんどん物語が進むので、2時間ちょっとがあっという間に過ぎたような感覚だった。

大泉洋かっけえ!!

俳優陣で言うと、もちろん才蔵役の長尾謙杜がめちゃくちゃ良いんだけど、やっぱりそれ以上に大泉洋がかっこよすぎる。イメージとしては3枚目の役が多い気がするんだけど、今回は民を率いる武士の頭。自由で、優しくて、懐の深い、男としてかっこよすぎる男を、「かっこよすぎない」感じで演じるのが最高に良い。大泉洋といえばぼくが大好きな三谷幸喜の「清須会議」で豊臣秀吉役を演じ、その"人たらし"の部分をバッチリ演じていたが、今回も強く、男らしいだけじゃない、"人たらし"の部分を存分に感じさせていてめちゃくちゃ良かった。

ストーリーを楽しむタイプの映画じゃないかも

いくつかの感想を読むと、ストーリーが単調とかそういう意見もあったが、個人的にはそれを楽しむタイプの映画じゃないのかなという感想。基本的には分かりやすいストーリーの上にアクションやら映像やらカメラワークを盛り込んだエンタメ映画になっていて、そっちを思い切り楽しむための映画だと思った。なので「時代劇」という先入観で見ようとすると楽しむポイントがズレてしまう。もちろん「貧しい民と腐った幕府」という時代背景は現在の日本に重ねても面白い視点だし、そんな幕府を倒すところが痛快なポイントでもある。そもそも勝利条件が「幕府を倒す」じゃなくて「借金の証文を燃やす」ってところが面白くて、だからこそクライマックスの証文を燃やす炎の中で農民たちが踊り歌うラストがめちゃくちゃ良かった。だからこそ、映画の中で何度かぐっと来るシーンはあったんだけど、ストーリーじゃなくてシーンに感動するというか。やっぱり全体が意味を持つ映画じゃなくて、「凄いシーンの詰め合わせ」のような映画だと思った。

シンプルに映像を楽しみたいなら観て損はない

個人的には観ている最中はめちゃくちゃ面白かったし、楽しいシーンの連続だった。ただまあ誰かに「人生変わるよ!」とおすすめする感じではないかもしれない。例えるなら「アバター」みたいな映画かも。凄い映像を詰め込んで、映像を楽しみたい人は観て損はないし、絶対に楽しめると思う。あとは松本若菜が美しすぎた。あれは反則かも。あと北村一輝が「地面師たち」に続いてまた血まみれで死んでいった。かわいそう。だがやっぱりいい悪役だなあ。あと般若出てきた。いやー、めっちゃ面白かった。