今日は一日ジャパンカップクリテリウムを観てきた。優勝はトレックのトゥーンス。ぼくが観に行くようになってから、4年間で3回優勝しているトレック。ツール・ド・フランスなどのレースでも活躍するトップ中のトップであるこのチームだが、日本人である別府史之を擁するからか、毎年クリテリウムは「獲りにきている」印象。
とくに、選手としてはレジェンド級のカンチェラーラやコンタドールが引退レースとして走ってくれるだけでなく、そこで本気の仕事をしていくからすごい。カンチェラーラの鬼引きや、コンタドールのレースコントロールにはとても感動したのを覚えてる。
そんなジャパンカップクリテリウムだが、これまではどこかトレック一強の雰囲気を醸していたが、今年は少し様子が違った。同じく日本人である新城幸也を擁するバーレーン・メリダがこちらもクリテリウムを「獲りにきた」のだ。
例年なら他のチームがいくら逃げようが、アタックしようが集団をコントロールして横綱相撲に持ち込んでいたトレックだったが、今年は集団のコントロールにバーレーン・メリダも名乗りをあげた。集団の前方で赤いユニフォームを固め、トレックに主導権を渡さない。
そして終盤、感動的だったのは2つのシーンだった。まずは集団を積極的にコントロールしていたバーレーン・メリダの攻撃。集団の先頭でバーレーン・メリダのアシストの一人が仕事を終えると、先頭に立ったのは新城幸也。後ろにスプリンターのコルブレッリを引き連れてぐんぐん加速を始めた。少し想定外だったのは、その状況が訪れるのが少し早かったことか。本来であればスプリンターを発射させる新城の仕事はゴール手前でなければならなかったが、俗に言う「一枚足りない」状況で新城が引く距離が長くなってしまった。
そんな中でその後ろで着々と準備を進めていたのがトレックだった。バーレーン・メリダの後ろに隠れるように足を溜めていたトレックからは、トゥーンスを引き連れた別府史之が登場。お手本のようなリードアウトからトゥーンスの優勝を文字通り「アシスト」した。
ゴールはビデオでも分からないような写真判定の勝負に持ち込まれていた。その差は1000分の7秒だったという。トゥーンスとコルブレッリという一流選手がそこで火花を散らしたのはもちろんすごいことだが、この勝負をお膳立てしたのが2人の日本人だったことが誇らしい。とても良いジャパンカップだった。