ドラえもんを観ていて思ったことがある。
カミナリさんというキャラがいる。のび太たちがよく遊んでいる空き地の横に住んでいて、のび太たちが野球で遊んでいるとボールが塀を超えてしまい、ガラスや盆栽が割れてカミナリさんが「コラー!」と出てくる。有名なシーンだ。
カミナリさん。ぼくはこの名前、その怒り方を表したあだ名だと思っていた。しかし、調べてみると「神成さん」という苗字なのだという。
そう考えるとこの人すごく損をしていると思う。確かにカミナリさんと言えばいつものび太たちに「コラー!」と怒鳴り声をあげている、恐い人というイメージだ。でも冷静に考えてみると、この人は家のガラスやら大事な盆栽やらを割られているのだ。ガラスなんて直そうと思えば何千円ってお金がかかるわけだし、盆栽だって長い年月をかけて育てたのだろう。
それを考えると怒るのも当たり前というか、そもそも割られたのだって一度や二度の話じゃない。もうなんか話の導入部分でパリンパリンいっちゃうときもあれば、この前観た回なんかひとつの話で二回パリンされてた。それでもカミナリさんの対応は「コラー!」のみ。親を呼んで弁償させるとか、学校に苦情入れるとかの対応は一切しない。
それを考えると、この人は凄い優しい人なんじゃないかと思えてきた。ぼくだったら塀を高くするとか、空き地でのボール遊びを禁止させるとか、何かしらの対応はするだろうし、そもそも窓際に盆栽を置かない。それでもカミナリさんが「コラー!」としか言わないのは、彼がすごい優しい人だということ。なんならもう割られ待ちしてるんじゃないかとさえ思えてくる。
カミナリさんほど苗字で損している人はいない。これからぼくは彼を「昼のまどろみさん」と呼ぶことにする。
人類をすくった“カミナリおやじ”―信念と努力の人生・北里柴三郎 (PHP愛と希望のノンフィクション)
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