「なんか調子悪いなあ」と思っていざ病院に行くとなんでもない。
こんなことがたまにある。
この前なんか胃痛と頭痛が続いていて、ついに背中が痛み始めた。
ネットで調べると、
「胃痛の後に背中が痛い場合は注意が必要。
最悪の場合、すい臓にがんが見つかるケースも」と書いてあった。
恐くなって会社を休んで病院に行った。
お医者さんに症状を告げると、背中を触られたり、
お腹を押して痛いところを聞かれたりした。
もしも大きな病気だったら僕はどうすればいいのだろうと思った。
嫁を残して僕が一人旅立つわけにはいかない。
これでも一人の男として、嫁を守っていかなければならないのだ。
そして先生は言った。
「背中が痛いのは関係ないですね。湿布だしておきます」
調子が悪くて病院に行くと、実は大したことがないということがある。
これについて、なぜこんなことが起きるのか。
考えに考え、ついに僕は今日一つの解答に辿り着いた。
「病院の待合室には、回復魔法がかけられてある」
家にいるときは確かに体調が悪かったのだ。
それでも病院に行くと「なんでもないですね」と言われてしまう。
おかしいではないか。
では、この間に何があるか。それは待合室だ。
先生の待つ診察室の前に、なんらかの効果で病気が治っているとしか思えない。
だから先生は「まあ診察室の時点でだいたい治ってるけど」とか思いながら、
「一応薬出しておきますね」と言い放つのだ。
病院の待合室は盲点だった。
確かに診察室に辿り着くには、待合室を通過する必要がある。
もしかして、あの受付してから異常に時間がかかるのも、
待合室である程度の時間拘束しておくためなのかもしれない。
背中の痛みについては湿布ですぐ良くなった。