この前ちょっと暇な時間ができたので、手帳に最近あったことを書き出してみた。最初はなかなか思い出せなかったが、「この日ってなにやってたんだっけ」と、ひとつずつ思い出して手帳のマスを埋めていった。
この「思い出す作業」がなかなか楽しかった。何もしなければただ消えていってしまう記憶が、ひとつずつ整理されていくような気分になった。例えるなら部屋に置きっぱなしにしていた荷物を、ひとつずつ本来の場所へ片付けていくような感覚か。それによって脳の中がすっきりと整理され、また脳の中に新しいスペースが生まれたような気持ちにもなった。
手帳とはなんだろう。それは「日常の予習復習」のようなものかもしれないなと思った。学校の授業でも大切なのは、授業を受けたままにしないで、それを復習することだという。手帳に日記を書いていくことも、きっとその日の復習をするような感覚で、頭の中が整理されていくのではないか。
整っていく記憶のひとつひとつが、自分を形成しているのだとすれば、それは自分の破片とも言うべきものだ。ぼくが記憶を見つめているとき、記憶もまたぼくを見つめているのだ。