微炭酸のしょう油

やわらかいところ、刺してもいいですか?

おもしろいスマホアプリを探す旅。青い鳥は足元にいたのか。

ぼくはと言えば、常に「良いスマホアプリがないか」と探している。理由は、職場のお昼休みにやることがないからだ。基本的にはスポーツニュースサイトを見てサッカー情報を確認しているが、それでも時間を持て余してしまう。

 

数年前、ひとつのアプリにハマったことがあった。「カルチョビット」というサッカーゲームである。いろんなスマホアプリをインストールしては数週間で飽きてしまうぼくにしては、このゲームはだいぶハマったと言えるだろう。ダラダラと続け、いまでもたまに起動しては、ピコピコとサッカーの試合を行っている。

 

ただ、この「カルチョビット」というアプリはいわゆるソーシャルゲームではない。1200円で買い切りのゲームで、一回買ってしまえば永遠に遊べるものの、他人と対戦したり、課金してアイテムを集めたりする要素はない。ただただ自分だけの世界でチームを強くしていく繰り返しだ。

 

そんなこともあり、このゲームにおいてぼくは強くなりすぎてしまった。サッカーチームの監督として世界一を目指すゲームなのだが、もうここのところ10年くらい連続で世界一になっており、試合に負けたことすら思い出せないほど強くなってしまったのだ。ゲームとしては面白いと思うし、ここまでハマるゲームは他にないくらいなのに、ゲームの中でやることがなくなってしまったのである。

 

そんなときに、ふと悪魔のささやきがぼくの頭に問いかけた。

 

「初期化しちゃえばまた0から遊べるんじゃない?」

 

脳に閃光走る。悪魔的な閃き。これは確かに正しい発想である。やることがないのなら、またやることを作ればいいのだと。しかし、それは同時にこのチームのみんなと別れることを意味する。最強のストライカーとして君臨している「もたい」、オールマイティな「クラリス」、クロスの名人「あさみ」、パワフルな「オスカル」、キャリアの晩年で才能を開花させた「あかつか」。みんなぼくのチームで結果を出してきた選手たちだ。

 

自分の監督としてのキャリアを考えると、つぎの挑戦に足を向けるのも正しい意見だ。しかし、ここまでぼくを連れてきてくれたのは、チームのみんながいたからに他ならない。果たしてここで新しいチームに行くことが本当に「挑戦」なのか、それは「逃げ」ではないのか。

 

13時になり、お昼休憩が終わる。ぼくはまた仕事に戻る。

 

つづく。