微炭酸のしょう油

やわらかいところ、刺してもいいですか?

アルファ波に誘われて

この前初めてオーケストラを聴きにいった。音楽の、ひいてはクラシックの知識なんてぜんぜんないぼくだったが、目の前で大勢の人がものすごくきれいな音を出しているのを聴いているだけで感動してしまった。

 

感動してしまったのは事実だ。しかしここでぼくは謝らなければならない。誰にか。それはオーケストラを演奏している演者さんにだ。というのも、曲が始まって数分後。美しい旋律と迫力のある音色の中で、ぼくを襲ってきたのは強烈な睡魔だった。誤解してほしくないが、決して退屈だったわけではない。しかしながらまるでその壮大な世界観に引きずり込むように、大放出されたアルファ波がぼくを夢の世界へと導いていくのだ。

 

ただ大きな罪悪感を感じる一方で、なんて失礼なことを言うのだと言われるかもしれないが、そのときの眠りは最高だった。現実から夢へのスムーズな遷移。目を閉じるだけで現れる空想のビジョン。耳だけでなく、体全体で感じたのは音の連なりであるところのわずかな振動の連続。寝たくせになにを言ってるんだと言われるだろう。でも言わせてほしい。音楽は素晴らしい。

 

もし許してもらえるのであれば、今度はお布団を持ち込ませてほしい。