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微炭酸のしょう油

やわらかいところ、刺してもいいですか?

おばさんは混沌の覇者

わけあって自分の母親とその友人たちの飲み会に顔を出すことになったのだが、そこで信じられない光景を見た。

それはお会計のときのこと。確か値段は2万とちょっとだったと思う。まず、母親たちはそれを6人で割ると言い始めた。「20000÷6は!? ねえ、20000÷6!?」としきりにこっちに聞いてくる。ぼくとしては一人3000円出して、あとは年配の人がちょっと多く出せばいいのにと思っていた。すると友だちの一人が「あ、◯◯さんが1000円置いていったから20000÷6じゃないよ! 1000円引かなきゃ!」と言い出した。母親たちはそこで携帯電話を取り出し、なにやら計算を始めた。

「20000÷6は・・・」
「いや、1000円引かなきゃダメでしょう」
「じゃあ20000÷6が3333円だから・・・」
「19000を6で割ればいいんだよ」
「あれ、7人いなかった? 1・2・3・・・」
「じゃあ3200円として、お釣りは・・・」

カオスだった。もう全員が全員、誰の話も聞いてない。勝手に計算始めるし、それがどれを計算した値かも分からないし、人数もはっきりしないし。そしてうちの母親がとんでもないことを言い放った。

「じゃあ一人3000円でいいよ」

計算は!? あんなにいろいろ計算してたのに。すげえ色々細かい数字出てたのに。そもそも一人3000円じゃダメだから計算が始まったんじゃないのか。こんな時間かけて(10分くらいはごちゃごちゃやってたと思う)、結局3000円でいいんかい。

なんというか、今までの概念やら何やらを吹っ飛ばすような体験だった。なんなんだこの不毛な時間は。人類が歩んできた効率化という進化の道をダッシュで逆走するかのような、ここまで無駄な10分を過ごしたことがなかった。おばさんという生き物の底知れなさを思い知った。

 

おばさん事典

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