微炭酸のしょう油

やわらかいところ、刺してもいいですか?

センター試験の思い出

センター試験で思いだすこと。

ぼくも高3の冬、センター試験を受けた。忘れもしない、あの日の朝。確か出発直前のことだったと思う。何の気なしに机の上を見ると、ひとつの時計があった。なんか百円均一かなんかで買ったちゃっちいデジタル時計だった。ぼくはすでに試験用のアナログ時計を持っていたのだが、「予備があってもいいだろう」と思ってカバンにいれたのだった。

試験会場について、緊張しつつ自分の席に座る。幸いにも同じ教室にクラスメイトがいて、知ってる顔がいて安心した。少し時間が過ぎ、一番最初のテストが始まる前に、試験管からの説明があった。内容は覚えてないが、筆箱をしまえとか、マークの仕方とかだったと思う。そしてその中でこんな説明があった。

「時計の音はならないようにしてください」

事前に説明があったのだが、試験中にアラーム等が鳴った場合、その時点で失格になるらしいことを聞いていた。ぼくは「そんなことありえないだろ」と思って聞き流していたのだが、そんな中で事件は起きた。

ピピピ。ピピピ。ピピピ。

微かに聞こえる音。それは電子音のような音だった。「え、だれか音鳴らしてない?」と思ったのは束の間、今日の朝からの全ての記憶が思い出され、出発前のあの一場面に辿り着いた。「おれだ」。ぼくはすぐさま自分のカバンの中からそのデジタル時計を探り当てた。カバンから取り出すと、音は少し大きくなった。慌てていろんなボタンを押すが、普段使ってる時計じゃないので、どこで止めるかぜんぜん分からない。そしてさらにいろんなボタンを押してようやく音が止まった。その後もぼくの心臓の音は鳴り止まなかった。

後々調べてみると、その時計のアラームが8時半にセットされていたことが分かった。その時間はまだ試験管の説明の途中だったからギリギリセーフだったが、これが9時半にセットされていたら。ぼくは試験中に時計を鳴らして、一年浪人していたか、はたまた流浪の旅に出て、本当の意味で浪人になっていたかもしれない。


もう遅いかもしれないけど、受験生にアドバイスするとしたら、「時計を余計に持って行くな」だ。


 

センター試験過去問研究 英語 (2015年版 センター赤本シリーズ)

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