微炭酸のしょう油

やわらかいところ、刺してもいいですか?

ボールペンで線を引くおじいさん

先日、図書館に行ったときのこと。

ぼくは設置された机と椅子で本を読んでいた。しばらく本を読んでいると、隣から何か音がすることに気づいた。それは「シャッ。シャッ。」という音で、なんだろうと思い隣をみると、おじいさんがボールペンで何本も線を引いていた。「シャッ。シャッ。」と何本も何本も線を引いている。この人は何をしているのだろう。罫線を書いているのだろうか。今の時代、ノートと言えば罫線が入っているが、この人は罫線の存在を知らずにこの歳まで生きてきて、「文字を書く際に補助線のようなものがあればいいのに」とか思いながら罫線を書いているのだろうか。

そして少し観察すると、机には大辞林が置いてあった。なかなかの大きさだ。しかしさっきから大辞林に触る気配は全くない。ただただ線を何本も引いている。この大辞林をここまで運んでくるのもなかなかの重労働だろう。なんのために持ってきたのか。軽い筋トレのためか。

しばらくしておじいさんは線を引き終わると、次は目を閉じて口をくちゃくちゃさせ始めた。これがなかなかにうるさい。さっきの「シャッ。シャッ。>」から累積すると、そろそろぼくのストレスもなかなかの量になってきている。ぼくは視線をやりそれとなく注意を促そうとするが、おじいさんはぜんぜん気がつかない。ただただ口をくちゃくちゃさせている。なんなら若者がガムをくちゃくちゃさせるよりも大きな音を出してくちゃくちゃしている。このおじいさん、ぐれているのだろうか


不思議なおじいさんに出会ってしまった。まあまあ不快だった。


 

おじいさんのしごと (講談社の創作絵本)

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