自分は安全。そう考えていないだろうか。
その道を歩いていれば、その道から外れなければ、安全で安心した毎日を送ることができる。そんな風に考えていないだろうか。戦争や貧困はテレビの向こう側にだけあるもので、「ノンフィクション」というフィクションに包まれて、それは自分とは関係ない「道」にあるものだと考えていないだろうか。
だけれども、その「自分には関係のないもの」が、意外と近くにあることをあなたは知らない。その「対向車線」がとても細く薄い線で区切られていることを、あなたは知らない。ふとした油断が、焦りが、そのハンドルを大きく回し、自分が「対向車線」に飛び出すことがあるということ。その可能性の「低くなさ」をあなたはきっと知らないだろう。
昨日から、歯が痛い。
一昨日までなんともなかったのに。夜になって痛み出した奥歯は徐々にその痛みを強め、一度眠りについたぼくを明け方に起こすのだった。ぼくはそれに苦しみながらロキソニンを水で流し込み、強引に押さえ込んだ。保冷剤をタオルで包み、ほっぺたに押し当てた。4時半から6時ころまで眠れなかった。歯が痛くて。
自分は安全。そう考えていた。
しかし、急に歯が痛くなった。ぼくは「対向車線」にいたのだ。
ちくしょう。。。
